2016/08/30

103万円の壁

今朝の日経新聞の1面に、自民党の税制調査会長が「配偶者控除見直し検討」という記事が出ていました。

税制改正のスケジュールは、毎年12月に与党が「税制改正大綱」を発表します。

これは翌年以後の税制をどのようにするべきかを記載するものですが、当然その前には根回しが必要です。

今回の記事は、与党の「配偶者控除の見直し」に向けての下準備の一環だと思われます。

 

配偶者控除については、よく質問を受けます。

「103万円の壁」といわれるもので、奥様がパートなので勤務している場合大きな問題となります。

まず「103万円の壁」についてですが、これは所得税上の問題です。

現在の所得税では、配偶者(ここでは妻がパートで働いている場合とします)の所得が38万円以下の場合、夫の配偶者控除38万円の対象となります。

38万円?103万円ではなくて?と思われるでしょうが、奥様が給与をもらっている場合、奥様に65万円の給与所得控除があります。

つまり、奥様の給与103万円-給与所得控除65万円=給与所得38万円となり、この場合には夫の配偶者控除の対象となります。

それでは、例えば給与が104万円となってしまった場合、一切夫の方から控除出来ないかというと、救済措置もあります。

配偶者特別控除というもので、妻の給与が最大141万円になるまで、控除額は妻の給与に応じて減りますが対象となります。

 

奥様が給与所得ではなくて、例えば自宅でフリーの仕事をしている場合(ピアノ教師とか)は、「103万円の壁」は関係がなくなります。

配偶者控除と対象となるのは、所得が38万円以下という条件なので、

例えば、事業収入300万円-事業経費270万円=事業所得30万円

ならば、この場合でも配偶者控除の対象とはなります。

 

このような記事が出てきたのも、やはり働き方が変わってきつつあるからだと思います。

以前は、子供が産まれると妻は会社を辞めて子育てに専念し、子供が学校に通いだすとともにパートで働きだすという家庭が多かったと思います。

現在は、産休・育休制度が整ってきたこともあり、仕事を辞めずに産休後職場へ復帰という女性が増えてきています。

団塊の世代が退職時期にかかり、日本の就業人口も減りつつあります。

妻の給与を103万円以下に抑えるような力が働く現行の配偶者控除ではなく、働きの有無に関わらない控除制度を作り、女性の就労を促す方向へ行くのは必然かなと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

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