106万円の壁(または130万円の壁)
クールビズは9月で終わりとしている会社は多いようですが、今日の通勤電車で見たところ、まだまだノーネクタイの人が多いようです。
東京は雨なので、ネクタイをしても暑くはないと思いますが、わざわざしたいとも思わない気候です。
今週も台風が来るようで、どうも今年の秋は天気がよくないなぁと思っています。
記事のタイトルですが、先月「103万円の壁」について書きました。
「103万円の壁」あるいは「106万円(または130万円)の壁」については、本当によく相談を受けます。
あらたまって税理士に相談するようなことではないですが、でも家計的には心配なことといった感じでしょうか。
整理してお話しすると、「103万円の壁」は所得税に関すること、「106万円(または130万円)の壁」は社会保険に関することで、それぞれについて関連はありません。
給与所得が103万円以下ならば、配偶者の扶養家族として、所得税で配偶者控除が受けることが出来る。これが「103万円の壁」でした。
では、「106万円(または130万円)の壁」とは?
社会保険(健康保険・厚生年金)では、一般的にはもし配偶者の収入が130万円を超えるようならば、配偶者自身で社会保険に加入に加入するよう定められています。
収入が130万円以下ならば、夫の社会保険に被扶養者として加入を出来、妻が自分で社会保険料を支払わないことも可能です。
130万円を超えるようならば、自分で社会保険料に加入をする必要が生じ、家計的にはかえって負担が増える。これが「130万円の壁」でした。
10月から、この「130万円の壁」の適用条件が更に下がり「106万円の壁」となります。
ただし前提があり
①週20時間以上勤め、年収が106万円以上
②勤務期間が1年以上の見込み
③従業員数が501人以上
④学生以外
を全て満たす場合に、新たに自分で社会保険に加入することとされています。
例えば従業員数500人以下の会社で働いている場合は「106万円の壁」は適用されず、従来通り「130万円の壁」が社会保険料負担のハードルとなります。
ちなみに社会保険への加入する条件ですが
①1週間当りの勤務時間が正社員の3/4以上
②1ヶ月当りの勤務日数が正社員の3/4以上
③雇用期間が一定以上であること
であり、給与の金額は条件ではありません。上記3つの条件を満たしているのならば、例え給与が100万円でも自分で社会保険に加入する必要が生じます。
蛇足ですが、それだけ働いて給与が100万円ならば、今度は別に最低賃金の問題が生じると思いますが。
「130万円の壁」とは、夫の社会保険の被扶養者へ入る条件であって、自分の社会保険加入の条件とは本来関係ないものなのです。
ただし、自分で社会保険に加入することも、デメリットだけではありません。
例えば健康保険の被扶養者では支給されない「傷病手当金」がもらえるなどのメリットもあります。
配偶者控除廃止の議論といい、社会保険加入条件の改正といい、働き方が大きく変わっていくのは確かなようです。
夫はサラリーマン、妻は専業主婦で子供が大きくなったらパート、子供は2人という従来のファミリーモデルは大きな変革期に入っているようです。
生涯独身の人も増えているようですし、家族のありかた、ひいては「公平な社会的費用の負担とは?」という大きな問題にまで議論が拡大するのかもしれません。
渡部会計事務所
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酒税改正について
先日、平成29年の税制改正について、所得税の配偶者控除が論点になっていると書きました。
本日の日経新聞に、このことについて世論調査を行い、賛成が53%、反対が32%との記事が出ていました。
男女とも賛成が上回っているようですが、やはり専業主婦の方は反対が多いようです。
当然予想はされたことで、世論調査を踏まえて、政府がどのように判断をするかが見物です。
ところで、ほぼ同時期にしれっと方針が打ち出されたのが、酒税の改正です。
特に、ビールは「ビール」「発泡酒」「第三のビール」に分かれており、それぞれ税率が異なりますが、これを一本化しようというものです。
現在350ml缶当たり、「ビール」は77円、「発泡酒」は47円、「第三のビール」は28円酒税がかかっているそうですが、これを一律55円程度にするという案です。
しかし、なんでビールの税額が3つに分かれたかの経緯を考えると、安易に賛成はしづらいです。
日本の酒税は、国際的にはとても高いです。
例えば、「ビール」は日本では220円/ℓなのですが、イギリスは97円/ℓ、ドイツに至っては10円/ℓなのだそうです。
つまり、あまりにも高い「ビール」の税金を、少しでも下げて消費者に提供しようと開発されたのが「発泡酒」「第三のビール」なわけです。
海外に行かれたことがある方はわかると思いますが、日本と海外であまりにも価格差があるものの一つが酒であり、その差はほぼ税金の差といっていいと思います。
とはいっても、酒税が国の一般歳入に占める割合は結構大きく、約1兆3千億円(約1.4%)になります(平成27年度予算)。
相続税は約1兆7千億円(約1.8%)なので、予想以上に大きな割合を占めています。(ちなみに所得税は約16兆4千億円で17.1%、消費税は17兆1千億円で17.8%、法人税は11兆円で11.4%だそうです)
国の財政が歳入不足に陥っている現在、「ビール」単体では税金が下がっても、酒税総額では下げる方向には行かないんだろうなと考えています。
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広島カープの優勝
9月10日の土曜日、カープが優勝をしましたね。
25年ぶりとのこと、四半世紀ぶりの優勝だそうです。
地元広島の盛り上がりはテレビで散々やっていました。
優勝の経済効果は331億円だとか。
いつも思うのですが、この経済効果ってどうやって計算しているのでしょうか?
球場に観客がたくさん来て交通費が増えるとか、チケットが普段以上に売れるとかはわかりやすい経済効果ですが、それ以外はどうやって計算するのでしょうね。
お店はファンが買い物して潤い、従業員は残業手当をもらい、それを家族が使ってと、確かにその通りなんだとは思いますが、正確に数値を算定できるのでしょうか?
まあいずれにしろ、お金がある(この場合なくても使う?)人は、使った方が経済的には潤うようです。
話は無理やりですが(笑)、国の税制も同じ方向に向かっているようです。
ここ何年か、贈与税に関する措置がたくさん導入されています。
「教育資金贈与」「結婚資金贈与」あげくの果てには「ジュニアNISA」などという制度まで出来ました。
国の目的はただ一つ、中高年の人がため込んでいるお金を少しでも吐き出させ、使わせることにあります。
統計では、個人金融資産約1700兆円のうち、60歳代以上の世代が保有する割合は約6割だとか。
このお金を、子供や孫に贈与という形で渡し、何とか使わせようというのが目的です。
確かに経済的には、お金はため込むよりも利用する方が、引いては国民所得を拡大に貢献するとされています。
しかし、国の将来が不安な今、無理して使う人がどれだけいるでしょうか?
中国のことわざに「上に政策あれば、下に対策あり」というのがあるそうですが、いかに国が政策を作ろうとその目論見が見透かされていると効果は半減でしょう。
実際「ジュニアNISA」は当初予定よりも契約数が下回っているようです。
下手な減税対策をうつよりも、将来の不安を除く方に使っていただきたいといったら、あまりにも教科書的でしょうか。
自分のひいきしているチームが負けたので、ついつい説教臭くなってしまいました(笑)
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税制改正の季節
9月に入ったのですが、まだまだ暑いですね。
先週の天気予報では、今週は天気があまりよくないとのことでしたが、昨日・今日と快晴で雨はどこへ行ったのでしょうか?
先日の記事で、自民党税調会長が「配偶者控除改正」発言をしたと書きましたが、こういった記事を読むといよいよ税制改正の季節だなと思います。
当たり前ですが、日本の税制は全て税法に基づいて規定をされています。
従って、与党が税制改正の案を作り、国会に上程をし、可決されて初めて公布されることになります。
例年スケジュール的には次のようになっています。
8月末 各省庁の税制改正要望が集約
9月~ 政府の税制調査会で議論
11月~ 与党の税制調査会で議論
12月 与党税制改正大綱が公表
1月 政府が国会へ税制改正法案を提出
3月 税制改正法案が可決成立し、公布
秋からの税制調査会で、税制改正要望が議論されることとなり、12月までにそれをまとめた税制改正大綱が発表をされます。
そこで発表をされた大綱は、与党内の造反等よほどのことがない限り可決をされ、法案となります。
今回の改正についての最大の論点は、やはり「配偶者控除の改正」になると思います。
これについては、与党内でも反対があるらしく、すんなりとまとまるかは不明です。
配偶者控除を廃止することにより、専業主婦がいる世帯の増税になるのではないかという懸念があるからです。
税制調査会長は、「専業主婦がいる世帯の増税にはならないように配慮する」旨の発言をしていましたが、これはどうでしょうか。
配偶者の働き方に関わらず「夫婦控除」として控除枠を取るということは、その分だけ国が徴収する所得税額が減るということになります。
穴が開いた税額については、どこかで埋め合わせをせざるをえません。
他の税金で埋め合わせをするという考え方もありますが、消費税は延期をされていますし、法人税は国際競争の観点から上げることは困難です。
結局、所得税で「夫婦控除を導入するかわりに、控除額を縮小(=専業主婦がいる世帯は増税)」という流れになるのではと考えています。
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103万円の壁
今朝の日経新聞の1面に、自民党の税制調査会長が「配偶者控除見直し検討」という記事が出ていました。
税制改正のスケジュールは、毎年12月に与党が「税制改正大綱」を発表します。
これは翌年以後の税制をどのようにするべきかを記載するものですが、当然その前には根回しが必要です。
今回の記事は、与党の「配偶者控除の見直し」に向けての下準備の一環だと思われます。
配偶者控除については、よく質問を受けます。
「103万円の壁」といわれるもので、奥様がパートなので勤務している場合大きな問題となります。
まず「103万円の壁」についてですが、これは所得税上の問題です。
現在の所得税では、配偶者(ここでは妻がパートで働いている場合とします)の所得が38万円以下の場合、夫の配偶者控除38万円の対象となります。
38万円?103万円ではなくて?と思われるでしょうが、奥様が給与をもらっている場合、奥様に65万円の給与所得控除があります。
つまり、奥様の給与103万円-給与所得控除65万円=給与所得38万円となり、この場合には夫の配偶者控除の対象となります。
それでは、例えば給与が104万円となってしまった場合、一切夫の方から控除出来ないかというと、救済措置もあります。
配偶者特別控除というもので、妻の給与が最大141万円になるまで、控除額は妻の給与に応じて減りますが対象となります。
奥様が給与所得ではなくて、例えば自宅でフリーの仕事をしている場合(ピアノ教師とか)は、「103万円の壁」は関係がなくなります。
配偶者控除と対象となるのは、所得が38万円以下という条件なので、
例えば、事業収入300万円-事業経費270万円=事業所得30万円
ならば、この場合でも配偶者控除の対象とはなります。
このような記事が出てきたのも、やはり働き方が変わってきつつあるからだと思います。
以前は、子供が産まれると妻は会社を辞めて子育てに専念し、子供が学校に通いだすとともにパートで働きだすという家庭が多かったと思います。
現在は、産休・育休制度が整ってきたこともあり、仕事を辞めずに産休後職場へ復帰という女性が増えてきています。
団塊の世代が退職時期にかかり、日本の就業人口も減りつつあります。
妻の給与を103万円以下に抑えるような力が働く現行の配偶者控除ではなく、働きの有無に関わらない控除制度を作り、女性の就労を促す方向へ行くのは必然かなと思います。
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オリンピック報奨金の話
昨日の閉会式で、リオデジャネイロ・オリンピックが終わってしまいました。
日本勢の活躍もあり、盛り上がり、あっという間に終わってしまったという感じです。
個人的には、バドミントンって面白いなあと思いました。これからますます強くなりそうですね。
ところでいきなりですが、オリンピックでメダルを取るとJOC(日本オリンピック協会)から報奨金がもらえることをご存知でしょうか?
JOCの規定で、
金メダル 500万円
銀メダル 200万円
銅メダル 100万円
がもらえるのだとか。体操の内村選手は500万円×2=1000万円なのでしょうか?(体操団体の分は頭割りするのかな?)
お金をもらうと、切り離せないのが税金です。
一般の人が、なんらかの形で報奨金をもらった際は、一時所得として所得税が課税をされることになります。
しかしそこがオリンピックの威力ということでしょうか、税法で非課税と規定をされています。
以前はこのような規定はなく、報奨金にも普通に課税をされていました。
しかし、平成4年に水泳の岩崎恭子選手が金メダルと取った時に、「国民感情にそぐわない」とのことで非課税となったそうです。
同様に、ノーベル賞・国民栄誉賞・日本学士院・文化功労賞等の賞金も非課税となります。
どのような賞が対象となるか興味のある方は、所得税法第9条13項をご覧ください。
あまり、私には関係はなさそうな話でした。
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